通り魔の心理――大野木亮太容疑者へ――
名古屋での殺人未遂事件、犯人は30歳であるという。
僕も今年29であるから、ほぼ同世代といっていい。
ゆえに僕は、彼の「動機」や、「動機の現れ方」などが、よく理解できる。
他人事ではない、という気持ちもある。
多くの世人は、彼が通り魔をした「動機」ばかり探ろうとするが、本当に重要なことはその「動機の表れ方」なのだ。
例えば、通り魔をすることによって世間が、
「どんな理由があったにせよ、人様に迷惑をかけるなんて論外だ!」
という冷たい反応をすることは、彼でなくても、あらかじめ予測できることだ。
そして、そうした「世間」から「冷たくあしらわれる」という反応について、納得できる部分と納得できない部分、言い換えれば、冷たくあしらわれて当然だよなという大人な考えと、こんなにツイてない僕にそんなに冷たくしないでくれという子供な考えとが、あるいは、世間は悪くない悪いのは僕だという建前と、いや、やっぱり世間が悪いのだという本音とが、交錯し、「股割き状態」になっているのだ。
股割き状態は、つらい。
この場合、人は足を組み直して、楽な姿勢に戻りたくなるのが当然であろう。
ゆえに、「逮捕される」ということは、彼にとってマイナスではない。ゼロに戻っただけのことなのだ。
ゼロに戻ったのだから、変な話、彼はある意味ではホッとしている可能性もあると思う。
もう、これ以上苦しまなくて済むのだから。

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